家は本来、心からリラックスできる「居場所」であるはずです。
しかし、夫からモラハラを受けている女性にとって、家はむしろ不安や緊張に満ちた「戦場」のような場所になっていないでしょうか。
「安心できる場所がない」
「どこにも逃げ場がない」
──そんな風に感じているあなたへ。
モラハラに苦しむ女性にとっては、“逃げる場所”や“安心できる居場所”を確保することが、生きていくうえでの土台になります。
今回は、心と身体を守るための逃げ場所の考え方と、その見つけ方についてご紹介します。
安心できる場所があるから、人は前を向ける

心理学者アブラハム・マズローの「5段階欲求説」にもあるように、人が生活のなかで安定して活動できるのは、「安全・安心な環境」があってこそです。
けれど、モラハラ被害者は、その最も基本的な「安全の欲求」ですら満たされていないことが多いのです。
外で仕事や育児、社会活動をこなすには、心を癒せる場所が必要です。
帰る場所があるからこそ、傷ついても立ち直れる。
ですが、家に帰ることが苦痛なら、それは大きなストレスとなり、生活のすべてに影響してしまいます。
「家庭=安心な場所」とは限らない
多くの人にとって、家庭や家は癒しの場所であるというイメージがあります。
「疲れたら家で休む」
「家族に支えてもらう」
という考え方は一般的です。
しかし、すべての人がそうではありません。
仕事場や趣味の時間が癒しになっている人もいますし、家庭がプレッシャーやストレスの場になっているケースも少なくないのです。
モラハラを受けている人にとって、「家」はむしろ心の安定を脅かす場所。
そのため、
「ここには安心できる場所がない」
「逃げる場所がない」
そう思うことが、さらなる苦しみを生んでしまいます。
でも、だからこそ言いたいのです。
家に安心できる場所がないなら、家の“外”や“中の一部”に、自分にとっての逃げ場所をつくってもいいんです。
身の安全を守る“物理的な逃げ場所”も必要です
モラハラは基本的に精神的な暴力ですが、ときにはエスカレートし、モノを投げる、壁を蹴るといった身体的暴力に発展することもあります。
もしものときに備えて、物理的に身を守れる場所を用意しておくことも大切です。
たとえば・・・
- 家の中で鍵をかけられる部屋をひとつ確保する(寝室や物置など)
- 子どもがいる場合は、子ども部屋に鍵をつける
- 鍵の存在はあくまでも「緊急時用」とし、普段は使わない
鍵付きのドアノブはネット通販やホームセンターでも手に入り、工事不要で取り付けられるタイプもあります。
日常的に使うわけではなく、「本当に危険を感じたときに逃げ込める場所」を用意しておく。
それだけでも、心の安心感は大きく変わります。
「ほっとできる空間」は意外と身近にある
逃げ場所というと、シェルターや実家、役所などの公共機関を思い浮かべがちですが、日常の中で「心が安らげる場所」をいくつか確保することも、逃げ道になります。
たとえば、こんな場所はありませんか?
- お気に入りのカフェやファミレス
- 近所の公園や図書館
- 家から少し離れたコンビニ
- 雑貨屋さんやドラッグストアのコスメコーナー
また、家の中でも工夫次第で「小さな癒し空間」は作れます。
- 子ども部屋で絵本を一緒に読む時間
- お風呂の時間を丁寧に楽しむ
- ペットと過ごす静かな時間
- 窓際にお気に入りのクッションやアロマを置いた自分だけのスペース
「自分がホッとできる場所」を見つけることは、逃げることと同じくらい大切です。
たとえ小さな空間でも、あなたの心の安全地帯になり得ます。

実体験:私の“逃げ場所”はクローゼットの中でした
ここ私自身の経験を少し紹介します。
夫と同居していた頃、私はダイニングテーブルで在宅の仕事をしていましたが、夫が常にリビングにいるとネチネチとイヤミを言われるため、しだいに寝室やウォークインクローゼットの中で仕事をするようになりました。
最初は寝室だったんですが、子どもが寝ていたため、電気をつけると起きてしまうためウォークインクローゼットの中になったんです。
狭いクローゼットの中にクッションを敷き、パソコンを開き、静かに作業する。
それが意外と落ち着いて、唯一の自分だけの空間であり、安心できる場所になったのです。
また、近所の雑貨屋さんやコスメ売り場も、心の逃げ場でした。
リップや香水のテスターを眺めるだけで、少し気持ちが上向きになる。
本屋さんで子どもを遊ばせながら、自分の好きな本を手に取る時間も、癒しのひとときでした。
そして実家に帰ってきた今は、寝室の一角にお気に入りの座椅子とテーブルを置いて、自分だけの“仕事場”を作りました。
送り迎えの車の中で音楽を聴く時間も、私の貴重な「逃げ時間」です。
どんな形でもいいのです。
「ここにいると安心する」と思える場所が、1つでもあると、心の負担はぐっと軽くなります。
まとめ:あなたにとっての“安心できる居場所”を探そう
人は誰でも、安心できる場所が必要です。
それがなければ、自分を保ち、未来に進むことはとても難しくなってしまいます。
モラハラ夫に苦しんでいる方ならなおさら、「逃げる場所」「心から安らげる場所」の確保は必須です。
家の外でも、家の中の一角でもいい。
あなただけの、安心できるスペースを探してみてください。
そして、その場所を少しずつ整えていきましょう。
お気に入りのものを置いたり、音楽や香りを楽しんだり──それだけで心は変わっていきます。
「私には安心できる場所がある」
そう思えるだけで、日々の苦しさは少しずつ和らぎます。
どうか、自分を責めず、あなた自身を守る選択をしてください。
あきらめなければ、きっと未来は変えられます。