「どうしていつも、こんな人ばかり選んでしまうんだろう?」
「自分には人を見る目がないのかも…」
恋愛や結婚でモラハラ(モラルハラスメント)被害を繰り返す女性の多くが、自分を責めます。
「私は人を見る目がない」
「我慢が足りない」
…そんな思考に陥り、自信をどんどん失っていくのです。
しかし、何度もモラハラ被害に遭う背景には、“相手選びのミス”という表面的な問題ではなく、もっと深層的な“心理的な土台”が存在しています。
モラハラ加害者を引き寄せてしまう背景には、「家庭環境」や「育った価値観」から生まれる“被害者体質”が影響しています。
これはあなたの「弱さ」や「失敗」ではありません。
幼少期から積み上げられてきた無意識のパターンなのです。
この記事では、モラハラ被害者になった原因についてご紹介します。
モラハラ被害者に共通する“家庭環境の影響”とは?
モラハラ被害者の中には、いわゆる「普通の家庭」で育ったという人も多くいます。
虐待や育児放棄のようなわかりやすい問題がなかったとしても、子ども時代に受けた“心の傷”や“親との関係性”が、大人になってからの人間関係に影響を及ぼしていることがあるのです。
親からの健全な愛情が受け取れなかった体験
モラハラやDVの被害者になる女性の多くは、親からの無条件の愛情を十分に受け取れなかったという共通点があります。
愛された記憶が曖昧だったり、「愛されるには条件が必要だった」と感じていた人は、知らず知らずのうちに「私はこのままでは愛されない」という思い込みを抱えています。
- いい成績を取った時だけ褒められる
- きょうだいより劣っていると冷たくされる
- 親の期待通りの行動をしないと愛情がもらえない
このような環境にいた子どもは、「自分を偽ることでしか愛されない」と学んでしまいます。
それがやがて、「尽くさないと嫌われる」「我慢していれば受け入れてもらえる」といったモラハラ被害の温床になってしまうのです。
兄弟間の差別、条件付きの愛情
一見“普通の家庭”でも、きょうだい間で明確な差別があったり、愛情の注がれ方に違いがあると、子どもは深く傷つきます。
- 「弟の方が素直でかわいい」
- 「お姉ちゃんなんだから譲って当たり前」
- 「あなたは優秀だけど、○○はダメね」
このような扱いは、無意識に“愛されるには役割を果たさなければならない”という思考回路を育ててしまいます。
親の何気ない言葉が傷になったケース
特別な暴言がなくても、親の何気ない一言が子どもに大きな影響を与えることがあります。
- 「あんたのせいで私の人生はめちゃくちゃよ」
- 「あなたの考え方おかしいんじゃない?」
- 「どうしてお姉ちゃんみたいにできないの?」
こうした言葉は、「自分は存在しているだけで迷惑な人間なんだ」と思い込むきっかけになり、自己肯定感を根こそぎ奪ってしまいます。

“いい子”として育った子どもが抱える無意識の課題
「結果を出さなければ愛されない」という刷り込み
子ども時代、「いい子」でいなければ愛されない環境で育つと、無意識のうちに「親の期待に応える自分でなければいけない」という考え方が定着します。
そしてそれが、大人になっても自己肯定感の低さとして残り続けるのです。
- 「いい子」でいようと頑張る
- 怒られないように空気を読む
- 自分の欲求や感情を抑える
こうした行動は、対等な関係を築くことを難しくし、「支配されても我慢する人間関係」にハマりやすくなります。
自信を持てず、必要とされたい願望が強まる理由
自己肯定感が低い人ほど、「自分には何か価値がないと愛されない」と感じます。
そのため、相手に尽くしたり、犠牲になったりすることで“自分の価値”を証明しようとします。
- 「誰かに必要とされていれば安心できる」
- 「私が支えないと、この人はダメになる」
こうして、“尽くす=愛される”という思い込みが強化され、モラハラ男のような「支配的な人」に惹かれてしまう心理が形成されていくのです。

共依存体質がモラハラ加害者を引き寄せるメカニズム
モラハラ男は“被害者”を見抜く嗅覚を持っている
モラハラ加害者は、自分に尽くしてくれる存在を無意識のうちに探しています。
そして、自己肯定感が低く、必要とされたい願望が強い女性を一瞬で見分ける鋭い感覚を持っているのです。
- 自信がない
- 相手の要求にすぐ応じる
- 怒られるのが怖い
- すぐ謝ってしまう
まるで“ターゲットを探すハンター”のように、モラハラ男は支配しやすい人を選び、自分のルールの中に取り込もうとします。
なぜ支配されやすい人が選ばれるのか
モラハラ男にとって、共依存体質の女性は「絶対に離れない理想の相手」です。
なぜなら、たとえ酷い扱いをしても…
- 「私が悪かったのかも」
- 「もっと頑張れば優しくなるはず」
- 「この人を救えるのは私しかいない」
そんなふうに思い込んでしまう女性は、加害者にとって都合の良い存在。
たとえひどい扱いを受けても、「自分さえ我慢すれば…」と耐えてしまうため、支配構造が成立してしまいます。

モラハラ加害者と被害者の違いとは?似た家庭で育っても分かれる道
加害者は“責任を他人に転嫁”してきた人たち
モラハラ加害者もまた、幼少期に愛されなかった経験を持つことが少なくありません。
ただし、彼らは「自分が悪い」とは認めず、「他人が悪い」「自分は被害者だ」と考える傾向が強いのです。
彼らは自分の傷と向き合わず、他人に責任を押し付けることで自分を守ってきたのです。
「俺は悪くない、お前のせいだ」
「お前が変われば問題は解決する」
「俺は被害者だ」
こうして他人をコントロールすることで自己肯定感を保つ加害者は、責任を取ることなく、周囲を傷つけるようになります。
自分の感情を処理できず、他人を攻撃することで自分を保とうとするのです。

被害者は“自分を責めて我慢してきた”人たち
一方、被害者になる人は「私が悪かったのかも」と自分を責めることで耐えてきた人たちです。
我慢や努力を重ねる一方で、自分の気持ちを抑え込むクセが身についてしまっているため、加害者からの言葉や態度にも「自分がもっと頑張れば」と思い込んでしまうのです。
加害者とは逆に、他人の問題まで自分の責任として背負ってしまいます。
「私がもっと努力すれば」
「私が怒らせたのかも」
「彼にはきっと理由がある」
その結果、どれだけ傷つけられても「まだ我慢できる」と、関係にしがみついてしまうのです。
実の親が被害者をさらに追い詰める現実
親の価値観が“離婚=失敗”と捉えるケース
モラハラ被害に苦しんだとき、一番に頼るのは多くの場合、実の親です。
被害者がやっと勇気を出して親に相談しても、こんな言葉が返ってくることがあります。
- 「体裁が悪いから我慢しなさい」
- 「子どものために離婚するなんてあり得ない」
- 「女なんてみんなそんなもんよ」
こうした言葉は、被害者にとって「二重の否定」になります。
夫からも、親からも「お前が悪い」と言われ、逃げ場を失ってしまうのです。
ですが、親が「離婚は世間体が悪い」「子どものために我慢しろ」といった古い価値観を押し付けてくると、被害者はさらに逃げ場を失ってしまいます。
自分の親を否定できない心理とその代償
どれほど傷ついても、「親を悪者にしたくない」と思うのは自然な感情です。
ですが、それが自分を苦しめる原因の直視を妨げることもあるのです。
たとえ“普通の家庭”に育ったとしても、「無意識の傷」が今の状況に影響している可能性は十分にあります。
モラハラの無限ループを断ち切るために必要なこと
過去の家庭環境と正面から向き合う覚悟
モラハラの無限ループから抜け出すには、今の加害者から離れるだけでは不十分です。
自分がなぜ被害者体質になったのか、その根源と向き合う必要があります。
これは決して親を責めるためではなく、自分の人生を取り戻すための作業なのです。
「自分は悪くなかった」と気づくことの意味
「私さえ我慢すればうまくいく」
「私がもっと努力すれば…」
その考えが、あなたをさらに深く傷つけてしまうかもしれません。
あなたが感じている痛みには、きちんとした理由があるのです。
自分を責めるのをやめ、自分を癒すプロセスを始めることこそが、本当の意味での解放なのです。

まとめ|自分を取り戻すために一歩を踏み出そう
モラハラ被害は、単に「不運だった」と片づけられるものではありません。
その背後には、長年積み重なった「認められたい」「愛されたい」という深い想いと、それが叶えられなかった痛みが隠れています。
今からでも遅くありません。
自分の過去と向き合い、「ありのままの自分でいい」と許してあげてください。
あなたが変われば、もう二度と同じ被害にあうことはありません。
あなたの人生は、あなた自身の選択で、これからいくらでも変えられるのです。
