「どうしていつも私だけが責められるんだろう」
「夫にひどいことを言われたのに、最後はなぜか私が謝っている」
「私が我慢すれば…と思ってきたけど、もう限界」
そんなふうに、心の奥で苦しんでいるあなたへ。
この記事では、モラハラ夫が「被害者を演じる理由」やその心理的メカニズムをわかりやすく解説し、実際にどう向き合えばいいのか、具体的な対処法もお伝えします。
あなたが抱いている違和感は、決して間違っていません。
モラハラ夫は加害者なのに「被害者ヅラ」? その違和感の正体
モラハラ夫の特徴の一つは、自分が加害者であるにもかかわらず、「まるで自分が被害者であるかのように」振る舞うことです。
たとえば、暴言や無視といった精神的暴力をあなたに繰り返しているのに、いざあなたが反論や主張をすれば、「お前がそんなふうに言うからオレはこうなる」と言い返してくる。
その瞬間、あなたは言葉を失い、思わず自分が間違っているのかも…
と感じてしまうかもしれません。
でも、これは“被害者意識”という名の支配の始まりです。
なぜ被害者を演じるのか? モラハラ夫の深層心理
モラハラをする夫の多くは、自分が加害者であるという自覚がありません。
それどころか、「こんなにオレを追い詰めるお前が悪い!」と、本気で思い込んでいます。
いったいなぜ、彼らは自分の加害行為を棚に上げ、“被害者ヅラ”をするのでしょうか?
心理構造①:「認知の歪み」による責任転嫁
この背景には、心理学で言う「認知の歪み(cognitive distortion)」が存在します。
モラハラ夫は、自分にとって都合の悪い現実(=加害者であること)を受け入れることができません。
そのため無意識のうちに、「相手が悪いからこうなった」と思い込むことで、自分の行動を正当化します。
たとえば、あなたが「最近冷たい」と伝えただけでも、彼の頭の中では、
- 「俺を攻撃してきた」
- 「悪者にされた」
- 「だから反撃しなきゃいけない」
という思考にすり替わっています。
こうした“現実のすり替え”は、もはや本人の中では事実そのものになっています。
だから話が通じない。あなたがどれだけ丁寧に伝えても、「俺を攻撃するお前が悪い」という結論にたどり着くのです。
心理構造②:自己暗示による“偽の正当防衛”
モラハラ夫は、無意識のうちに「自分が正しい」と思い込む自己暗示の名人です。
彼らは、心の中でこういうロジックを組み立てています。
「お前が先に悪いことをした → オレは正当防衛で怒っただけ → オレは被害者だ」
この思考回路が強化されると、どれだけ理不尽なことをしても「正義は自分にある」と信じて疑いません。
だから、第三者が間に入っても「騙されてる」「オレが悪者にされてる」と、さらに被害者意識を強めていきます。
心理構造③:「加害の自覚」はあまりに苦しいから
モラハラ夫が自己暗示をかけてまで、自分の行動を正当化する理由。
それはとってもシンプルです。
「自分が悪者だ」と直視するのが、あまりにも苦しすぎるから。
自分が“人を傷つけている”という事実を直視するのは、とても辛いことです。
とくに、プライドの高く、自分は人徳者だと信じているモラハラ夫にとって、それは自尊心を壊しかねない現実です。
だからこそ、「オレは被害者だ」という認識で心のバランスを保とうとするのです。
これが、“被害者意識による加害行動”の本質です。
まるで、自分を守るために仕方なくやっているように見せかけて、実際は相手を徹底的に追い詰める。
それが、モラハラの怖さなのです。
だからあなたは苦しくなる──被害者の心を奪う“ガスライティング”
こうした夫の言動に、あなたは何度も心をかき乱され、「私が悪かったのかも」と思い込んでしまうことはありませんか?
これは心理的な操作、「ガスライティング」と呼ばれる手法です。
- 相手の事実を否定する
- 感情を歪める
- 罪悪感を植えつける
これらはすべて、「相手を支配するため」の技術です。
それに気づかないまま、あなたはどんどん自信を失い、心が擦り減っていくのです。
被害者ぶる夫に対して、どう向き合えばいい?
彼を説得しようとして、何度も疲れてきたと思います。
「話せば分かる」「変わってほしい」と願ってきたと思います。
でも、モラハラ夫は変わりません。
なぜなら、“自分を変える必要がない”と思っているからです。
だからこそ、あなたが自分を守るための行動を取ることが大切なのです。
あなたの心を守るために、今すぐできる5つのこと
1.まず「反応しない」ことを選ぶ
感情的なやり取りは、相手のペースに巻き込まれるだけです。
彼がどんなに挑発しても、冷静に「そういう考えなのね」と受け流す。
その“感情の壁”が、あなたの心を守る第一歩です。
- 「あなたがそう思うのね」と受け流す。
- 反論は逆効果になる場合が多い。

2.日記や記録を残す
どんな小さなことでもかまいません。
暴言、無視、あなたがどう感じたかを、日付とともに書き残してください。
自分を見失わないための“証”になりますし、いざというときの法的な証拠にもなります。
- 日々の会話・出来事を記録する。
- 時系列で事実を残すことで、自己確認・証拠にもなります。
3.外の世界とつながる
「夫のことを相談するなんて…」と躊躇する気持ち、よくわかります。
でも、あなたの苦しさは「家庭内のこと」ではありません。
“人権”の問題です。
親しい友人や家族、カウンセラー、行政の相談窓口など、あなたに寄り添ってくれる場所は必ずあります。
- 弁護士や行政のDV相談窓口などに相談。
- 「家庭内のこと」と抱え込まず、外に助けを求めましょう。
4.心の距離をつくる
無理に話し合おうとしない。
心をわかってもらおうとしない。
冷たいようですが、“わかり合う”ことを一度やめることが、結果的にあなたを守ることにつながります。
- 「正論を通そう」とせず、“感情的距離”を意識する。
- 同居中でも無理に会話しない・顔を合わせない工夫を。
専門家のカウンセリングを受ける
「自分がどうしたいのかわからない」
「判断する力がなくなってきた」
そんなときは、一度プロのサポートを受けてみてください。
あなたの“心の声”を整理するだけで、未来が少しずつ見えてきます。
- 被害者側も心がすり減り、冷静な判断力を失いがちです。
- カウンセリングで“自分の感情”を取り戻すことも大切です。
まとめ:あなたは今、心を守るという“勇気”を持っている
モラハラ夫の「被害者ヅラ」は、あなたを責め、支配するための手段です。
それに巻き込まれ、あなたが自分を責める必要はありません。
どうか忘れないでください。
あなたの感情は正しい。
あなたの痛みは、本物です。
そして、あなたには“心を守る権利”があります。
今、この記事を読んでくれているその一歩が、あなたの未来を変える第一歩です。
