離婚後の住まいはどうする？実家に頼れないあなたが安心して暮らせる選択肢と行動ステップ

離婚後の生活で最初にぶつかるのが、「住まいをどうするか」という現実的な問題です。

実家が頼れれば少し安心かもしれませんが、現実には「戻れない事情」がある人も多いもの。

本記事では、実家に戻れない方が安心して暮らすための選択肢と、今すぐ始められる行動ステップをご紹介します。

実家に戻るという安心感と葛藤

もっとも現実的で、精神的にも経済的にも一時的な安定を得やすいのが「実家に戻る」という選択肢です。

私自身も、夫と別居した最初の1年間は実家にお世話になりました。

もし実家の両親が受け入れてくれる環境であれば、住まい探しや家賃の心配をせずにすぐ生活を整えることができます。

子どもの預け先や食事の用意、日常的なサポートを得られるのも、大きなメリットです。

ただし、実家暮らしには当然ながらデメリットも存在します。

たとえ家族であっても、長年別々に暮らしていれば生活のリズムや価値観がズレてくるものです。

小さな違和感が日々のストレスに変わり、居心地の悪さにつながることもあります。

「助けてもらえる場所」として一時的に頼るのか、「再スタートの場」としてしばらく腰を据えるのか、自分の目的と家族との関係性をしっかり見極めてから選ぶことが大切です。

実家に頼れないときに選ばれている4つの住まい選択肢

実家に頼れない場合でも、住まいの選択肢は意外と多くあります。

「一人で抱え込まなければならない」と思いがちですが、条件や制度をうまく活用することで新たな生活をスタートさせることが可能です。

ここでは、実際に多くの人が選んでいる住まいの選択肢を4つご紹介します。

それぞれの特徴や注意点を知って、自分に合った形を見つけていきましょう。

賃貸住宅｜自分のペースで暮らせるが初期費用に注意

賃貸住宅は最も自由度の高い選択肢です。

間取りや立地、家賃などの条件を自分で選べるため、「自分らしい暮らし」を再構築しやすいのが魅力です。

まったく新しい土地でスタートすることで、離婚にまつわる周囲の視線や過去の記憶から離れ、前向きに暮らすことができます。

また、実家の近くや友人が多い場所など、自分が精神的に落ち着ける地域を選べば、孤独感も軽減できるでしょう。

ただし、賃貸住宅にはまとまった初期費用がかかります。

敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し代などを合わせると、十万円単位での出費は避けられません。

さらに、パートやアルバイト勤務のシングルマザーの場合、「収入が不安定」という理由で入居を断られるケースもあります。

こうしたハードルを乗り越えるためには、自治体の家賃補助制度や、ひとり親家庭向けの支援制度を調べ、活用することが大切です。事前に情報を集めることで、選択肢は大きく広がります。

公営住宅｜申請条件と抽選倍率を事前に確認しよう

市営・県営・都営住宅といった公営住宅は、経済的な事情を抱える世帯にとって強い味方です。

特に母子家庭は、優先的に入居できる制度が設けられている自治体もあります。

最大の魅力は、家賃が非常に安く抑えられる点です。

収入に応じて家賃が決まるため、月収15万円前後の家庭であれば、2LDKの部屋に1～2万円で住める場合もあります。

また、同じような境遇の家族が多く暮らしていることも、孤立を感じにくい環境につながっています。

子ども同士が学校や地域で自然に関わり合える場面も多く、心強い住まい方といえるでしょう。

一方で、公営住宅は誰でもすぐに入れるわけではなく、抽選制となっているのが一般的です。

タイミングによっては、何度も応募してようやく入居できるというケースもあります。

また、物件の選択肢が少なく、築年数の古い建物に当たることも。地域活動や掃除当番、自治会の役割が必ず回ってくるなど、独特のルールに馴染めないと感じる人もいます。

それでも、子どもが小さく収入も安定しない時期には、生活の土台としてとても頼れる制度です。

元の自宅に住み続ける方法（名義・ローンの問題点も）

離婚後もこれまで住んでいた家に住み続けるという選択肢もあります。特に子どもがいる家庭では、転校や住環境の変化を避けたいという思いから、この選択をとる人も少なくありません。

子どもにとって、住み慣れた家や学校、友人関係が続くことは大きな安心感につながります。引っ越しにかかる初期費用を抑えることができる点でも、現実的な選択といえるでしょう。

しかし、ここには見落としがちな落とし穴もあります。

まず、家の名義やローンの支払いの問題です。

名義が元夫であれば、離婚後も名義変更をしないまま住み続けるのは、将来的なトラブルのもとになります。

ローン残高がある場合、どちらが支払うのかという点でも揉めやすく、口約束では後々「言った言わない」の争いになりがちです。

専門家に相談しながら慎重に進めることが重要です。

自宅を購入するという選択肢もある

住まいの安定を図るうえで、自宅を購入するという方法も視野に入ります。

「賃貸だと将来が不安」「子どもの進学や生活の基盤をしっかり築きたい」という方にとって、持ち家は安心材料となりえます。

最近では、シングルマザーでも利用できる住宅ローンや自治体の支援制度もあるため、収入と将来設計次第では現実的な選択肢になります。

母子家庭専用シェアハウスの活用も視野に

最近では、民間企業やNPO法人が運営する「母子家庭専用シェアハウス」も増えています。

複数の母子世帯が1つの建物内で暮らしながら、生活費や子育ての負担を軽減できる新しい住まいの形です。

共用のキッチンやリビングを利用しながらも、個室でプライベートも確保されているため、集団生活に抵抗がある人にも選ばれています。

母子生活支援施設という選択肢

すべての選択肢が難しいと感じたときに、最後の砦となるのが「母子生活支援施設（母子寮）」です。

ここでは単なる住まいの提供にとどまらず、母子家庭が将来自立できるよう支援を受けながら生活していくことができます。

近年では、母子家庭専用のシェアハウスといったサポート型住居も注目されています。

家賃が比較的安く、日常生活や子育てについての支援を受けられる点が特徴です。

「一人じゃない」と感じられる環境を求めている方には適していますが、集団生活にストレスを感じる人にとっては向き不向きがあることも忘れてはいけません。

子どもと安心して暮らすために考えたい3つのこと

住まい選びで忘れてはならないのが、子どもの存在です。

どんな場所で、どんな環境で暮らすかは、子どもの成長や心に大きく影響します。

ここでは、「子どもと一緒に安心して暮らす」という視点から、住まい選びで意識したい3つの要素を見ていきましょう。

あなた自身の安心感が、子どもにとっての安定にもつながります。

住環境と学校の安定をどう保つか

引っ越しによって学校が変わったり、生活圏が変わったりすると、子どもは大きなストレスを感じやすくなります。

できる限り学区を変えずにすむ場所を探すか、転校の必要がある場合は新しい学校での環境を丁寧に整えることが重要です。

特に子どもが小中学生の場合は、生活のリズムが乱れやすくなるため、通学時間や友だちとの関係を配慮したうえで住まいを決めましょう。

子どものメンタルケアと“居場所”のつくり方

子どもにとっての「安心できる居場所」は、物理的な空間以上に、心の安定がカギになります。

離婚という家庭の変化は、子どもの心にも少なからず影響を与えます。

小さな子どもでも、親の表情や空気を敏感に感じ取っているため、「あなたがいてくれてよかった」としっかり伝えることが大切です。

新しい住まいでは、子どもが自分のスペースを持てるように配慮するだけでも気持ちが落ち着きやすくなります。

あなたが安心して暮らせることが何より大事

子どもの安定を支えるためには、まず母親であるあなた自身が安心して暮らせることが大前提です。

経済的な不安や孤独感が強いと、それが子どもにも伝わってしまいます。

「頑張らなきゃ」と気を張るのではなく、安心できる場所・相談できる相手を持つことが、結果的に子どもの安心にもつながります。

自分を責めず、まずは自分の気持ちを大切にすることから始めましょう。

住まいの不安を減らすために活用したい3つの支援制度

経済的な不安が大きくなりがちな離婚後の生活。

とくに「実家に頼れない」「貯金がない」といった状況では、住まいの確保が最も悩ましい問題になります。

そんなときに頼れるのが、公的な支援制度です。

ここでは、実際に活用できる3つの制度とそのポイントを紹介します。

制度を知っておくことで、住まい探しに対するハードルが大きく下がります。

児童扶養手当と住居にまつわる注意点

児童扶養手当は、ひとり親世帯を対象に支給される支援金で、家計の助けになる重要な制度です。

ただし、「実家に戻る」と世帯収入に親の収入が加算され、手当の支給対象外になる可能性があります。

そのため、「実家に住めばお金がかからないから安心」と安易に判断すると、かえって手取りが減ることも。

住まいと手当は切り離せない関係なので、申請前に必ず条件を確認しておきましょう。

生活保護制度の正しい理解と申請の流れ

生活保護は「最終手段」と思われがちですが、

という状況であれば、正当な権利として利用できます。

住居費が支給対象となるケースも多く、住まいの確保を目的に申請することも可能です。

申請にあたっては、地域の福祉事務所での相談が第一歩となります。

「恥ずかしい」「偏見がある」と感じる必要はなく、生活の立て直しのために必要な手段のひとつです。

保証人なしでも契約できるサポート（家賃保証など）

賃貸契約でネックになるのが「保証人の有無」です。

実家に戻れないということは、頼れる保証人がいないケースも多く、そのために契約が難航することがあります。

しかし現在では、保証会社を利用することで保証人不要で契約できる物件も増えてきています。

初期費用が多少かかる場合もありますが、「保証人がいないから家が借りられない」という状況は以前よりも少なくなっています。

実家に戻れない私が“前に進む”ためにやるべき3つのステップ

住まいの問題は、精神的にも大きな負担を与えます。
けれど、「もう実家に戻れない」と分かっているなら、次に必要なのは「今の自分でもできることを一つずつやってみる」ことです。
ここでは、特別な準備や知識がなくても、今日から始められる現実的な3つのステップをご紹介します。

まずは地域の福祉窓口に相談してみる

悩んでいるときこそ、ひとりで抱え込まず、まずは自治体の福祉窓口を訪ねてみましょう。

福祉課では、住まいや生活に関する支援制度の説明を受けたり、具体的な相談にのってもらえます。

「生活保護は受けたくない」と思う方でも、相談だけなら無料でできるので、最初の一歩として気軽に利用することが大切です。

ひとり親世帯向けの特別な支援を教えてくれる場合もあります。

今の生活費と住まいにかかる費用をざっくり計算

どれくらいのお金が必要で、どこにいくらかけられるかを把握することで、住まいの選択肢が見えてきます。

家賃、水道光熱費、食費、教育費などをざっくりでもいいので紙に書き出してみましょう。

予算に合った物件を探すだけでなく、不要な支出を見直すきっかけにもなります。

収入が少ない場合でも、補助制度や支援を前提に考えることで、希望に近い住まいを見つけやすくなります。

自分が“頼れる場所”を紙に書き出して整理する

実家に頼れなくても、「実家以外に頼れる場所」や「助けになりそうな人」は意外とあるものです。
友人、保育園の先生、地域の支援団体、シングルマザーの交流会など、小さなつながりでも十分力になります。
頭の中だけで考えずに紙に書き出すことで、視覚的に「孤独ではない」と実感しやすくなります。
これはメンタルケアとしても非常に効果的です。

ひとりじゃない｜頼れる支援・相談先リスト

「実家に戻れない」という状況は、とても孤独に感じやすいものです。
ですが、あなたの悩みに寄り添ってくれる支援先や団体は、想像以上にたくさん存在しています。
ここでは、公的機関から民間団体まで、頼れる相談先を3つの切り口で紹介します。
今すぐ行動できなくても、「情報を持っていること」自体があなたの力になります。

各自治体の相談窓口（福祉・住宅支援）

まず相談したいのが、市区町村役場や福祉事務所の窓口です。
生活保護、児童扶養手当、住宅支援など、地域ごとに異なる制度を案内してもらえます。
特に住まいや収入に関する悩みは、早めに相談しておくことで、紹介できる施設や支援策の幅が広がります。
「こんなこと聞いてもいいのかな…」と思わず、まずは状況を正直に伝えてみましょう。

母子支援団体・NPO・民間支援

公的機関とは別に、母子家庭を対象に活動する支援団体も数多く存在します。
たとえば、食料支援・一時保育・住まい探しのサポートなど、行政にはできない柔軟な支援が期待できます。
特に都市部では、NPOが運営する相談カフェやLINE相談、SNS上の交流グループなども充実しています。
同じ立場の人とつながれることが、精神的な支えになることもあります。

今すぐ動けない人へ｜情報を集めるだけでも一歩前進

「相談に行く元気がない」「まだ決断ができない」そんなときでも、自分を責める必要はありません。
まずはネットで調べてみる、本記事のような情報をスクショして保存する、それだけでも大きな前進です。
大切なのは、すぐに行動できなくても、「自分の未来のために一歩ずつ備えておく」という意識を持つこと。
気持ちが整ってきたら、必ず次のアクションが見えてきます。

まとめ：実家以外も頼れる選択肢は意外と多い

離婚後の住まいについて不安を感じている方にとって、「実家に戻れない」という状況は大きな壁に感じるかもしれません。
ですが、視野を広げることで、実家以外にもたくさんの選択肢や支援策があることがわかります。
まずは“自分の状況を受け入れ”、一歩踏み出すことが安心につながる第一歩です。

離婚後の生活は、誰にとっても大きな転機です。

実家に戻れないという現実はつらいかもしれませんが、「自分の力で生活を整えよう」としているあなたは、すでに大きな一歩を踏み出しています。

焦らず、頼れる制度や人に助けてもらいながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

この情報が、あなたの安心につながれば幸いです。